レンダリング・ツールVUE

 


Rendering Tool VUEは、任天堂社製家庭用ゲーム機VUE(バーチャルボーイ)およびSHVC(スーパーファミコン)向けゲームソフトウェアを開発するための Macintosh対応3次元グラフィックスツールです。本ツールは、VUE,SHVCに対応したデータを直接出力できるだけではなく、3次元グラフィックスならではの高品質なイメージを最終出力に合わせた自然な色・階調数に圧縮できること、また、特にVUEでは、単一の3次元形状データを元に両眼視差に基づく左右2枚の立体視画像を正確な計算により生成できることを大きな特徴としています。

Rendering Tool VUEでは、Macintosh上の仮想空間で3次元形状データを作成し、テクスチャー、色補正、視野、アニメーションなどの設定を行い、2次元ゲームグラフィックスとして使用される2次元イメージ(指定された色・階調数の静止画またはアニメーション)を生成します。また、3次元ポリゴンゲームに組み込まれる3次元形状データなどを特定の形式で出力することも可能です。本ツールは、2次元ゲームグラフィックスおよび3次元ゲームグラフィックスいずれにも高いレベルで対応しており、高品質なグラフィックスを効率的に開発することが出来ます。

先進的なOSと強力なCPUパワーを持つPower Macintoshに完全対応、親しみやすく機能的なユーザインターフェースと高い生産性を実現しています。アップルスクリプトへの対応(System 7.5以上)では、特定の形状を作成する場合の一連の操作方法やレンダリングのバッチ処理などをスクリプト化することにより、繁雑な手順の自動処理が可能となります。またMacintoshドラッグ&ドロップ(System 7.5以上)、発行/引用にも対応、Macintoshのファインダや他のアプリケーション間でのドラッグ&ドロップによるPICTおよびQuickTime Movieファイルのやり取りや発行/引用が可能です。

Rendering Tool VUEは、日本国内での累計出荷本数5,000本以上(1995年9月現在。初回バージョン発売1990年4月)という実績を持つソフトウェアパッケージ、ShadeIII バージョン1.2(1995年11月下旬発売)をベースに、インテリジェントシステムズ社とポリゴン・リサーチ社の共同開発により製品化されました。インテリジェントシステムズ社は、ファミリーコンピュータの発売当時から一貫して、任天堂社製ゲーム機対応ソフトウェア開発のためのツールを開発してきた実績を持っており、またポリゴン・リサーチ社は、以前よりShade IIIシリーズの開発に携わるとともにゲーム機対応ソフトウェア向けにカスタマイズされた製品をリリースしてきております。Rendering Tool VUEはゲームソフトウェア開発のための特化した技術と長年のパッケージ製品開発で蓄積してきたCG全般に関する技術を両立させることで、任天堂社製家庭用ゲーム機向けの高品質なグラフィックスを効率的に制作することを可能としております。プログラム開発は、日本国内の他、アメリカ国内アップル本社近くでも行われており、現地での各種技術情報や試作品にも迅速に対応しています。開発に関する皆様からのご要望には日本語・英語での対応が可能です。





2次元ゲームグラフィックス

2次元グラフィックスへの対応では、ゲームキャラクタや背景などの他、オープニング画面、プロモーション用のCGアニメーション作成などがあげられます。本ツールを使用してMacintosh上で3次元形状データの作成(モデリング)、テクスチャーや光源、色補正、視野(カメラ)、背景、アニメーションの設定などを行い、レイトレーシング手法によるフォトリアリスティックな2次元イメージをレンダリングします。 RenderingTool VUEでは、はじめに32bitsフルカラーイメージをレンダリングし、 色・階調数圧縮(2~256色・階調)を行った上で、VUEまたはSHVC対応のファイルとして保存します。もちろん同じフルカラーイメージを元に、異なるゲーム機の対応ファイルに変換して再利用することも可能です。特にVUEのように使用できる階調数が少ない場合は、元画像のコントラスト差が大きすぎる、あるいはグレースケール画像に変換した場合に各色の明度差がなくなるなど、そのまま階調数圧縮を行っても好ましい結果が得られない場合があります。Rendering Tool VUEでは、レンダリングする際に、変換する階調に合わせてフルカラーイメージの色を適正に補正することができます。変換の際は、アニメーションファイルなどのイメージに合わせて最適なパレットを作成、ディザリングを行って色・階調数圧縮を行います。またアルファチャンネルを利用することで、イメージの背景部分を直接透明色として設定することも可能です。 RenderingTool VUEは、アップルスクリプトにも対応しており、色補正や色・ 階調数圧縮の手順などをマクロ化(スクリプトとして記録)することが可能で、他のドキュメント上の作業の際に、このスクリプトを呼び出して実行させることもできます。Power Macintoshへの最適化対応の他、他のCPUを使用してのレンダリングの分散処理にも対応しており、高品質なイメージの高速レンダリングを実現しています。アニメーションでは、形状に組み込まれたジョイント(間接)とカメラのモーション設定を行うことで、全フレームを補完してレンダリングします。ジョイントモーションの設定では、階層構造をもった一連のジョイントを上下いずれの階層方向に対しても連動させながら設定する(上位階層のジョイントを連動させる技術は逆運動:InverseKinematics手法と呼ばれています)ことで、複数の部品が組み合わせられている場合の設定も簡単に行うことができます。いわゆるモーフィングと呼ばれる複数の3次元形状間の変形によるアニメーション、テクスチャーの変化によるアニメーション、動画マッピングアニメーションも可能です。





3次元ゲームグラフィックス

3次元形状やテクスチャー、モーション設定などは、そのまま3次元ポリゴンゲームに組み込むことが可能(※)です。2次元ゲームグラフィックスで使用される自由曲面ベースの柔軟で自由度の高い形状作成機能と3次元ゲームグラフィックスのための操作性に優れたポリゴン編集機能により、高品質な3次元ポリゴンモデルをポリゴン数の制約内で効率的に作成することができます。プリミティブ形状、立体化形状、自由曲面など、すべての形状はいつでも指定された分割数のポリゴンモデルに変換可能で、さらにポリゴンの追加・削除、移動・変形など簡単に行うことができます。変換前の形状に対して設定されたテクスチャーは、分割されたポリゴンに合わせて個々のイメージファイルとして出力されます。ポリゴンモデルの動きや変形では、ジョイントやカメラのモーション設定を元に、フレーム毎の各ポリゴンの頂点位置、カメラの位置や方向を出力することで、ソフトウェアへ組み込むことができます。

※ゲームソフトウェアへの組み込みにはRendering Tool VUE出力ファイルの指定形式への対応、またはソフトウェア側のRendering Tool VUE出力ファイルへの対応が必要となります。


Rendering Tool VUEはインテリジェントシステムズ社の商標です。
Macintosh、Power Macintosh、アップル、アップルスクリプト、QuickTime、Apple、Quadra、Centris、漢字Talkは米国アップルコンピュータ社の各国での登録商標もしくは商標です。
VIRTUALBOY、SUPERFAMICOM、バーチャルボーイ、スーパーファミコン、
ファミリーコンピュータ、ギャラクティックピンボールは任天堂の登録商標もしくは商標です。
Shade IIIはエクス・ツールス社の商標です。
Adobe Illustrator、ATMはアドビシステムズ社の各国での登録商標もしくは商標です。
その他の社名、商品名およびファイル形式名などは各社の登録商標もしくは商標です。
本製品カタログは1995年11月現在の製品仕様に基づいて制作されており、実際の製品仕様は改良のため変更されている場合があります。
本製品カタログ記載内容を転載することは法律で固く禁じられています。


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